【行政書士試験】「肢別過去問集」11周しても間違えてしまった問題(行政法)

行政書士試験本番まであと6週間です。

プレッシャーがどんどん高まっています。

メインで取り組んでいるTACの『肢別過去問週』は9月22日に10周を終え、現在11周目に入っています。

間違えた肢に貼ってある付箋も大分減ってきました。

それでも、11周目にして初めて間違えてしまった肢もあったり、まだ完璧とは言えません。

今日は、私が11周目にして間違えてしまった過去問を紹介します。

 

行政法

行政行為

Q

農地転用の許可は、講学上の許可にあたる。(平成9 問33 肢3)

A

2周目に1度間違えましたが、その後ずっと正解だったのに、11回目にして2回目の不正解を選んでしまいました。

講学上の「許可」とは、既に法令または行政行為によって課されている一般的禁止を特定の場合に解除する行為のことをいいます。

農地は、一般的に転用が禁止されおり、この禁止を解除するのが「農地転用の許可」ですので、講学上も「許可」です。

「農地」にまつわる行政行為には、もう一つ、「農地の権利移転の許可」があり、こちらは農地の権利を移転するという法律行為を補充し、権利移転を完成させるもので、「認可」にあたります。

私は魔がさしてしまい、この「農地の権利移転の許可」と勘違いし、この肢の答えを誤ってしまいました。

Q

特定の事実または法律関係の存否について、公の権威をもって判断しこれを確定する行為を確認といい、選挙人名簿への登録はこれにあたる。(平成元 問40 肢4ほか)

A

私は1周目にこの問題を間違えた後はずっと正解だったのに、11周目にして間違えてしまいました。

文章前半の、「確認」についての定義、「特定の事実または法律関係の存否について、公の権威をもって判断しこれを確定する行為を確認といい」は正しいです。

ただし、「選挙人名簿への登録」は講学上の「公証」です。

「公証」とは、特定の事実または法律関係の存否を公に証明する行為です。

行政上の強制措置

Q

代執行とは、義務者の義務の不履行があった場合に直接に義務者の身体または財産に実力を加え、義務の履行があったのと同一の状態を実現する作用をいう。(昭和62 問42 肢2)

A

11回中5回間違えています。

本問は「直接強制」の説明になっています。「代執行」の正しい定義は、「代替的作為義務が履行されない場合に、行政庁が自ら義務者のすべき行為をし、または第三者にさせ、その費用を義務者から徴収する制度」です。

ポイントは、「代替的作為義務」を行政庁が「代わりに実行」し、「費用を徴収する」という3点だと思います。

なので、代執行においては、義務者の「身体」に実力を加えることはありえないですね。

Q

届出義務の不履行に対しては、代執行の手続の1つである戒告により、履行の確保が図られている。(平成8 問36 肢2)

A

「届出義務」は代替的作為義務でないことが、まだ腑に落ちていないことから間違えたと思われます。

「届出義務」は本人の具体的事情に関わる時効を申告する「非代替的作為義務」なので、代執行できません。

また代執行のプロセスの一部である「戒告」を非代替的作為義務の履行確保に使われているということもありません。

Q

行政上の義務の履行確保手段には、間接的強制手段として、行政罰がある。その中で秩序罰では、届出、通知、登記等の義務を懈怠した場合などに科される罰である。(平成18年 問43エ)

A

私は未だに「秩序罰」と「執行罰」を混同してしまいます。

両者を比較してみます。

意義
執行罰義務の不履行に対し、過料を予告し、義務者に心理的圧迫を加え、間接的に義務の履行を強制すること
(未来の不履行に対して科する罰)
秩序罰行政上の秩序を維持するための罰として行政法規違反に過料を科す(行政上の義務違反のうち、比較的軽微なものに対して科される)
(過去の違反に対して科する罰)

このように、「執行罰」が未来の不履行に対して科す罰で、「秩序罰」が過去の行政法規違反行為に対して科す罰という点で大きく異なります。

行政不服審査法総則

Q

再調査の請求において、請求人または参加人の申立てがあった場合には、それが困難であると認められないかぎり、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。(平成28 問14 肢4)

A

再調査の請求について、学習が手薄になっていることから間違えてしまったと思われます。

再調査の請求に関する行政不服審査法61条は31条1項を準用していますので、審査請求と同じように申立てがあれば義務的に口頭意見陳述の機会を与えなければなりません

また、再調査の請求においても利害関係のある参加人の参加が認められています。

審査請求の終了

Q

再審査請求手続は、決定により終了するのが原則であるが、審査請求を認容する決定についても理由を付さなければならない。(平18 問14 肢5)

A

11回中3回間違えています。

正しくは「決定」ではなく「裁決」です。

また、「認容裁決」においても、理由は付さなければなりませんので、文章の後半は正しいです。

行政事件訴訟法の類型

Q

無効等確認の訴えは、処分または裁決があったことを知った日から3箇月以内に提起しなければならない。

A

11回中4回間違えています。

無効等確認の訴えは、要件については処分の取り消しの訴えと似ているのですが、出訴期間は不作為の違法確認の訴えと同じ様に、”いつでも提起できる”が正解です。

(そもそも、”3箇月”という数字が行政事件訴訟法で出てこないのでこれを間違っているのはヤバいです。)

取消訴訟の訴訟要件

Q

都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。(平成24 問18 肢3)

A

この問題は、盛岡用途地域指定事件(最判昭57.4.22)に関係しています。

盛岡用途地域指定事件(最判昭57.4.22)
事案

岩手県知事(Y)は、都市計画法8条1項に基づいて、盛岡広域都市計画用途地域指定の決定を行い、その中でXの経営する病院を含む地域を工業地域と指定した。これに対して、Xは、病院の拡張がきわめて困難になること、病院としての環境が破壊されることを不満として、本件指定の取消しを求めて出訴した。しかし、用途地域の指定には処分性が認められないとして、訴えを却下された。

結論

用途地域の指定がなされると、当該地区内の土地所有者に建築基準法上の新たな制約が課されることになるが、この効果はあたかもそのような制約を科す法令が制定されたのと同様で、不特定多数の者に対する一般的抽象的な制約である。したがって、特定の個人に対する具体的な権利侵害と言えず、処分性は認められない

Q

建築基準法42条2項に基づく特定行政庁の告示により、同条1項の道路とみなされる道路(2項道路)の指定は、それぞれが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。(平成30 問25 肢3ほか)

A

この問は、みなし道路の一括指定に関する最高裁判決(最判平14.1.17)に関連しています。

みなし道路の一括指定に関する最高裁判決(最判平14.1.17)
事案

Xは、奈良県御所市内の都市計画区域内に土地を所有していたところ、奈良県知事(Y)は、昭和37年12月28日付けの奈良県告示327号により、「都市計画区域内において建築基準法施行の際現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満1.8m以上の道については、建築基準法42条2項の規定により同1項が規定する道路とみなすところの道路(みなし道路)に当たる」旨を指定した。

そのため、Xが、その所有地上に建物の新築工事をするための建築確認申請に先立って、当該土地の一部である通路上の土地(本件通路部分)がこの「みなし道路(2項道路)」にあたるか否かを奈良県高田土木事務所に紹介したところ、平成元年1月30日に建築主事から本件通路部分が「みなし道路(2項道路)」にあたる旨の回答がされた。

そこで、Xは、本件通路部分が建築基準法42条2項の要件を満たしておらず、本件通路部分についての指定処分は存在しないことの確認を求める訴訟を提起したが、原審(大阪高判平10.6.17)は、Yによる当該告示は、包括的に一括して幅員4m未満1.8m以上の道を「みなし道路(2項道路)」とすることを定めるにとどまるものであって、本件通路部分といった土地について個別具体的に指定したものではなく、不特定多数の者に対して一般的抽象的な基準を定立するものにすぎないから、これにより直ちに建築制限等の私権の制限を生じるものとして抗告訴訟の対象となる行政処分にあたると解することはできないとして、Xの訴えを却下した。そこで、Xが上告した。

結論

本件告示は、幅員4m未満1.8m以上の道を一括して2項道路として指定するものであるが、これによって、法第3章の規定が適用されるに至った時点において現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道のうち、本件告示の定める幅員1.8m以上の条件に合致するものすべてについて2項道路としての指定がされたこととなり、当該道につき指定の効果が生じるものと解される。・・・そして、本件告示によって2項道路の指定の効果が生じるものと解する以上、このような指定の効果が及ぶ個々の道は2項道路とされ、その敷地所有者は当該道路につき道路内の建築等が制限され(法44条)、私道の変更又は廃止が制限される(法45条)等の具体的な私権の制限を受けることになるのである。そうすると、特定行政庁による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。

したがって、本件告示のような一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するべきである。

この結論は、盛岡用途地域指定事件(最判昭57.4.22)の結論と矛盾しるように見えますが、明確な理由はわかりません。

原則として、一般抽象的な制約は、処分性がないと考えられていますが、この「2項道路」は特別に処分性が認められたと理解しています。

まとめ

説明文は、私の調べた範囲での解説ですので、間違っている可能性もあります。

もし、間違いに気が付かれた方がいらっしゃったら、コメントでお教えいただけると非常に助かります。

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