【行政書士試験】LECの「全日本行政書士公開模試 第2回」記述式で問われた論点

さて、昨日受験しましたLECの「全日本行政書士公開模試 第2回」につきまして、

今日は記述式を復習したいと思います。

今日も既に肢別過去問集130ページ、千問ノック70ページのノルマをこなしてからこの記事を書いております。

「全日本行政書士公開模試 第2回」記述式 論点

行政書士試験は例年、行政法または国賠法から1問、民法から2問でるのが通例で、LECの模試もそれに倣っています。

  • 違法な行政処分に対する国家賠償請求(行政法)
  • 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予(民法)
  • 請負における契約不適合責任の例外(民法)

違法な行政処分に対する国家賠償請求(行政法)

問題そのものを掲載できませんが、問われた論点は、課税処分の取消訴訟と国家賠償訴訟の関係についての判例知識を問う問題です(冷凍倉庫事件、最判平22.6.3)。

私は、この判例は1度だけ読んだことがあるのですが、完全に忘れていました。

判例の事案

固定資産税の納税者が、固定資産の価格を過大に決定されたと主張し、課税処分の取消訴訟等を経ることなく、国家賠償法1条1項に基づき、固定資産税の課税相当金額の国家賠償請求訴訟を提起した。

論点

公務員が固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った納税者は、地方税法に基く審査の申出及び取消訴訟等の手続を経ることもなく、国家賠償請求を行いうるか。

結論

国家賠償請求するのに、あらかじめ行政処分について取消訴訟または無降確認の判決を得る必要はない。

この論点は、肢別では1度も間違えたことがなかったのですが、あまりにも基本的な知識なので、記述で問われると、この論点が問われていることに気づかず、「課税処分が国家賠償法上違法と判断される要件」について記述してしまいました。完全な出題把握ミスです。

協議を行う旨の合意による時効の完成猶予(民法)

今年の行政書士試験試験から反映される改正民法151条の知識を問う問題でした。

また、151条は、『肢別過去問集』、『千本ノック』、『ケータイ行政書士六法』に掲載されていない条文で、最近購入したばかりの『無敵の行政書士』で初めて知った条文でしたので、きちんと解答できませんでした。

また、「猶予」という漢字を思い出すのに苦労してしまい、限られた時間の中で151条を思い出す事ができず、150条の「催告による事項の完成猶予」と混同したまま回答してしまいました。

民法151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予

権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までは、時効は、完成しない。

一 その合意があった時から1年を経過した時

二 その合意において当事者が協議を行う期限(1年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時

三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知を時から6箇月を経過した時

2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべきときから通じて5年を超えることができない。

3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第1回の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。

4 第1項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、時期的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、第3項の規定を準用する。

5 前項の規定は、第1項第3号の通知について準用する。

この条文は、『ケータイ行政書士六法』に載っていないのですが、あらためて確認すると、結構複雑で、択一でも問われておかしくない部分があると思います。

個人的には、3項の「催告による時効の完成猶予」との関係が怪しい気がします。

民法150条(催告による時効の完成猶予)

催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない

このように、「催告」と「協議を行う旨の合意」で効果や猶予期間が異なっています。

まとめると、

催告協議を行う旨の合意
時効完成猶予期間6箇月1年
再猶予なしあり

請負における契約不適合責任の例外(民法)

これも民法改正点です。

問題は、請負契約の完成物に品質に関する契約不適合がある場合で、不適合を発見してから1年以内に通知しなくても履行の追完を請求できる要件を問う、637条の知識を問う問題でした。

行政書士試験の記述は、このような「例外」を聞く問題が多く、やっかいです。

ですが、この条文は『ケータイ行政書士六法』にもバッチリ掲載されているので、言い訳できません。

自分の勉強不足でした。

私は、はじめのうち、636条の、「注文者が履行の追完等をできないときの例外事由」を想起してしまい、またしても、論点ズレを起こしていました。

636条(請負人の担保責任の制限)

請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引渡したとき(その引渡しを要しない場合に合っては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容にてきごうしないとき)は、注文者は、注文の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

途中で気がついたのですが、637条の知識がなかったので、とりあえず、「請負人が、引き渡し時に、不適合があることを知りながら、告げなかった場合」と解答しました。

民法637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害の賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

部分点ぐらいはもらえるかなとは思っているのですが、正しくは、「悪意または重過失」でした。

このような細かい知識も問われる行政書士試験は本当に難しいと思います。

使っている教材

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