断続的ファスティング(Intermittent Fasting )は昨今、健康トレンドの一つになっています。ファスティングは減量や、ライフスタイルの改善のために多くの人に取り入れられています。
フォスティングとは要するに、「食べない」健康法です。
多くの研究で、断続的ファスティングは体と脳、さらには寿命の延長に効果があると主張されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3946160/
ファスティングを始めてみようという方のための情報を紹介します。

今回の記事は、
- 断続的ファスティングとは
- 断続的ファスティング やり方
- 断続的ファスティング 細胞とホルモンへの影響
- 断続的ファスティング 減量効果
- 断続的ファスティング 健康効果
- 断続的ファスティング 健康的ライフスタイルへの効果
- 断続的ファスティング 危険性
- 断続的ファスティング 安全性と副作用
- よくある質問
- 断続的ファステイング はじめかた
目次
断続的ファスティングとは

断続的ファスティング(Intermittent Fasting, IF)とはある決められた時間帯だけ断食を行う食事法です。
この食事法は食事の時間帯にフォーカスした方法であり、何を食べるかという点については決まりがありません。
この点は、従来のダイエット法と大きく異なり、食事パターンを厳密に管理します。
一般的な断続的ファスティングは、毎日16時間断食を続けるものと、週2回、24時間の断食をするというものです。
断食は人類の進化の過程で獲得されました。原始人はスーパーマケットや冷蔵庫、1年中手に入れられる食料はなかったので、しばしば食料に急することになりました。
その結果、人類は食事なしである程度の期間生存出来る様に進化したのです。
実際、時々ファスティングすることは毎日3〜4回食事するよりも自然なことです。
ファスティングはイスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などの宗教的、精神的な目的で行われることもあります。
断続的ファスティング やり方
断続的ファスティングのやり方はいくつかあります。
いずれも、1日または1週間のうち、断食期と食事期に分割します。
断食期は、食事を全く取らないか、ほとんど取ってはいけません。
以下は、ポピュラーな断続的ファスティング方法です。
16/8法(リーンゲインズ法)
この方法は、朝食を抜いて、1日の食事時間を8時間に限定します。
例えば、午後1時から9時までの間だけ食事をして、その他の16時間は断食します。
イート・ストップ・イート法
この方法は、1週間に1度または2度、24時間断食します。例えば夕食を抜いて、翌日の夕食まで何も食べません。
5:2ダイエット
https://www.healthline.com/nutrition/the-5-2-diet-guide
この方法は、1週間のうち連続していない2日間、カロリーを500~600kcalしかとらないダイエット法です。残りの日は普通にカロリーを摂取します。
上記のいずれの方法でも、食事期にカロリーを取りすぎなければ、断食期のカロリー制限のおかけで体重を減らすことができます。
これらのうち、16/8法がシンプルで安定して続けられるファスティング方法として沢山の人に受け入れられています。
断続的ファスティング 細胞とホルモンへの影響

断食すると、細胞と分子レベルで体に変化がおきます。
例えば、断食すると体は体脂肪を使いやすい状態にホルモンバランスを変化させます。
細胞も修復プロセスを始め、遺伝子発現を変更します。
以下は、ファスティングをすると起きる、細胞・ホルモンレベルの変化です。
成長ホルモン
ファスティングをすると成長ホルモンのレベルが約5倍まで、急激に上昇します。これは、脂肪減少と筋肉増強をもたらします。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2355952
インスリン
ファスティングをするとインスリン感度が上昇し、体内のインスリン値が急激に減少します。体内のインスリン値が低いと体脂肪がエネルギーとして使われやすい状態になります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15640462
細胞修復
ファスティングをすると、細胞が修復プロセスに入ります。
これには、オートファジーという古い細胞を取り除き、新しい細胞を作り出す働きを含みます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21106691
遺伝子発現
ファスティングをすると、寿命と病気耐性に関する遺伝子が変化します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2622429/
断続的ファスティング 減量効果

減量は、断続的ファスティングの主な目的の一つです。
少ない食事量になることで、断続的ファステイングは自動的に摂取カロリーを減らしてくれます。
加えて、断続的ファステイングはホルモンバランスを変化させることで、痩せやすい体質に変えてくれます。
断続的ファステイングはインスリン値を低くするだけでなく、成長ホルモンを増やします。
さらに、脂肪燃焼のホルモンであるノルアドレナリンを増やす効果があります。
これらのホルモンバランスの変化で、断続的ファステイングは短期的に代謝量を3.6~14%増やしてくれます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10837292
つまり、断続的ファステイングはカロリー摂取とカロリー消費の両面の効果をもっていて、効率の良い減量法といえます。
2014年の研究では、このダイエット法は、3~24週間において、3~8%の体重減をもたらしたと結論づけています。この数字は他の研究と比べて非常に優秀な結果です。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S193152441400200X
この研究では、同時に4~7%の割合でウェストが小さくなったと報告しています。これは内蔵脂肪など、成人病の予防にも効果的であると考えられています。
別の16の研究では、断続的ファステイングは通常のカロリー制限よりも筋肉の減少が少なかったと結論づけています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21410865
しかしながら、注意しなければいけないのは、これら体重減の主な要因は、全体的なカロリー摂取量がカロリー消費量よりも少なくできるからなのであって、摂取するカロリーを多くしてしまえば、体重を減らすことはできません。
断続的ファスティング 健康効果

多くの研究で、断続的ファステイングは体重コントロールだけではなく、体と脳の健康、さらには長寿の効果があると報告しています。
以下は、断続的ファステイングの健康効果です。
体重減
既に述べたとおり、断続的ファステイングは意識的にカロリー制限をしなくても、体重減をもたらし、お腹周りの脂肪を減らします。
インスリン耐性
断続的ファステイングはインスリン耐性を現象します。血糖値を3~6%減らし、インスリン値を20~31%減らし、2型糖尿病のリスクを減らします。
抗炎症効果
いくつかの研究では、成人病の指標である炎症マーカーが減ったと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23244540
心臓を健康にする
断続的ファステイングは悪玉LDLコレステロール、血中トリグリセリド、炎症マカー、血糖値、インスリン耐性を減少します。これらはすべて心臓病のリクスファクターです。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0104423013000213
がん
動物実験では、断続的ファステイングはがんを予防する結果が出ています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11835290
脳の健康
断続的ファステイングはBDNFという脳のホルモンを増やし、神経細胞の増殖を助けます。これは、アルツハイマー病の予防に繋がります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17306982
アンチエイジング効果
ラットによる実験で、断続的ファステイングが36~83%寿命を伸ばした結果が出ています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0047637400001093
ただしこれらの研究数はまだ十分でなく、殆どが動物実験もしくは短期的な人での実験です。今後も研究が必要な分野です。
断続的ファスティング 健康的ライフスタイルへの効果

健康的な食事はシンプルですが、継続することが難しいものです。
最も難しいのは、健康的は調理の手間がかかることではないでしょうか。
断続的ファステイングは調理の手間が省けます、食事の準備・調理・片付けの回数が減ります。
このことから、断続的ファステイングはライフハック界隈でも話題の食事法です。
断続的ファスティング 危険性

断続的ファステイングは誰でも実行できるダイエット方法ではありません。
痩せすぎや摂食障害の経歴がある人は、医師に相談しましょう。
さらに以下の場合は、危険性があります。
女性への影響
いくつかの研究結果で、断続的ファステイングは女性にとって男性ほど利点は多くないと言われています。
例えば、ある研究では、男性はインスリン感受性が上がりましたが、女性は血糖値制御機能が悪くなりました。
あるラットによる実験では、断続的ファステイングはメスのラットを衰弱させ、オス化させ、月経周期を不順にさせました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19127293
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15833943
逸話的な話で、ある研究では、断続的ファステイングによって月経が止まった女性が、通常の食事に戻したところ、月経が再開したといわれています。
これらの理由で、女性は断続的ファステイングについては慎重になるべきです。
女性向けの断続的ファステイングのガイドラインがありますので、それにしたがって、まずは練習からはじめて、生理が止まるなどもし何らかの問題があればすぐに断続的ファステイングを中止すべきです。
https://www.healthline.com/nutrition/intermittent-fasting-for-women
不妊症であったり、出産を考えている人は断続的ファステイングをおすすめできません。妊娠中や授乳中の人も絶対におすすめできません。
断続的ファスティング 安全性と副作用

断続的ファステイングの主な副作用は空腹感です。
慣れないうちは頭が働かなかったり、脱力感を感じるかもしれません。
これらは一時的なもので、次第に新しい食事間隔に体が順応します。
もし何らかの病気を持っている場合は、医者に相談するようにしましょう。
特に以下の人は断続的ファステイングに向きません。
- 糖尿病
- 血糖制御機能不全
- 低血圧
- 薬投与中
- 体重不足
- 摂食障害の既往
- 妊娠を控えた女性
- 無月経の経験のある女性
- 妊娠中や授乳中の女性
以上に当てはまらず、健康な人であれば、断続的ファステイングは全く無害なダイエット方法です。
よくある質問
断続期間に飲み物を飲んでもよいか?
大丈夫です。水、コーヒー、お茶などカロリーの無い飲み物なら飲んでも問題ありません。砂糖を加えてはいけませんが、少量のミルクやクリームならば問題ありません。
朝食を抜くのは不健康ではないのか?
いいえ。実際には、朝食を抜く人が一般的に不健康なライフスタイルの人が多いので、朝食を抜くことが不健康だと信じられてしまっているのです。
朝食を抜いても健康的な食事を取れば、断続的ファステイングは完全に健康的です。
断食期間にサプリメントはとっても良いか?
大丈夫です。ただし、いくつかのビタミンなどのサプリメントは油に溶ける性質のため、食事と一緒に取るほうが理想的です。
断食期間にトレーニングをしてもよいか?
大丈夫です。BCAAを取るとなお良いです。
ファステイングで筋肉量は減らないのか?
すべての減量法は筋肉量を減らす可能性があるので、ウェイトトレーニングとタンパク質を多く摂取することが重要とされています。
ある研究では、断続的ファステイングは通常のカロリー制限より筋肉量の減少が少なかったと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21410865
ファステイングは代謝を悪くしないのか?
いいえ。研究ではファステイングは短期的には代謝を早める結果がでています。しかしながら、3日以上の断食は代謝が抑制さてしまいます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3661473
子供はファスティングすべき?
いいえ。おそらく良いアイデアではありません。
断続的ファステイング はじめかた

すでにあなたは断続的ファステイングを今までやっていた可能性があります。
夕食を食べて、遅くに寝て、翌日の昼間で寝続けてしまったときは、すでに16時間以上の断食ということになります。
ある人は、本能的に、朝空腹を感じることがないため、自然に断続的ファステイングになっている場合があります。
多くの人は16/8法はシンプルで安定して続けられる断続的ファステイング方法と考えているので、最小に試すのに丁度いい方法です。
もしこの方法でファスティングに問題を感じないようであれば、
次にイート・ストップ・イート法か5:2ダイエットに挑戦するのも良いでしょう。
別の方法として、特に上記の断続的ファステイング方法にこだわらず、いつでも、できるときだけ、または時間がないとき、お腹が空いてない時に食事を抜くという方法があります。
いろいろな方法を試して、自分の生活スタイルやスケジュールに合った方法を探しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
断続的ファステイングは誰もがやるべきダイエット方法ではなく、あくまでも数あるライフスタイルや体質・性別などに依存するダイエット方法です。
ただし、その効果は多くの人が実感しているので、興味のある方は試す価値があると思っています。