本日「肢別過去問集」が9周目に入りました。
憲法の8周目は5時間程度で完了で。大分理解が進んでいると思います。
118ページの憲法中、間違えた肢は9問でした。
今日は、この9つの肢の論点をまとめてみます。
憲法
問題:「内閣総理大臣の指名は、憲法上、天皇の国事行為として認められていない。」
解答:◯
8回中2回間違えた問題です。
「指名」と「任命」の違いにうっかりするとミスしてしまいます。
内閣総理大臣を「任命」するのは天皇です(6条1項)が、「指名」するのは国会です(67条1項前段)。
問題:「参議院議員の通常選挙の施行を公示することは、天皇の国事行為である。」
解答:◯
明文では、「国会議員の総選挙の施行を公示すること」とありますが、これは「参議院の通常選挙」と同義です。
問題:「犯罪を犯した少年に関する犯人情報、履歴情報はプライバシーとして保護されるべき情報であるから、当該少年を特定することが可能な記事を掲載した場合には、特段の事情がない限り、不法行為が成立する。」
解答:☓
長良川事件の事例です。
判例は、犯人情報及び履歴情報は、名誉を毀損する情報で、プライバシーに関する情報ではあるが、記事の掲載によって不法行為が成立するか否かは、被侵害利益ごとに違法性阻却事由の有無等を審理し、個別具体的に判断することが必要とし、「特段の事情がない限り、不法行為が成立する」とはしていません。
これは、プライバシー権も重要だが、報道の自由も大事であり、単純に「プライバシー権」だから記事を掲載したら不法行為であるとはできないのだと思います。
問題:「組合員の生活向上のために、統一候補を決定し、組合を上げてその選挙運動を推進することなども労働組合の活動として許されるので、組合の方針に反し対立候補として立候補した組合員を統制違反者として処分することも許される。」
解答:✗
7周目まで全て正解だったのに、今回始めて不正解となってしまいました。
地方議会の事例で、「懲戒処分は許され、除名処分が違法である」という判例と同様に、単なる「処分」は許されるのではないかと考えてしまいました。
この事例では、「断念の勧告・説得」は許されるが「処分」することは組合の統制権の限界を超えて違法としています(三井美唄労組事件:最大判昭43.12.4)
問題:「内閣総理大臣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、単独で責任を負い辞職しなければならない。」
解答:✗
これも8周目ではじめて間違えた問題です。
8週もすると慣れから、問題の後半をよく読んでいませんでした。
「内閣総理大臣が単独で責任を負い辞職」などありえません。
問題:「国務大臣は、その在任中、内閣の同意がなければ、訴追されない。」
解答:✗
8回中6回間違えています。
会社法の場合、取締役会が各取締役の事務を監視しているのですが、
内閣の場合、あくまでも内閣総理大臣がトップであり、国務大臣の任免、訴追の同意などを単独でできる居力な権限を持っています。
会社法と内閣の統治システムの理解がごっちゃになっている気がします。
問題:「衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり、裁判所の審査は及ばない。」
解答:✗
苫米地事件判例(最大判昭35.6.8)は、「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にある」としている。
つまり、「有効無効の判断は法的に不可能」とはいっていない。
問題;「裁判の判決は、いかなる場合も公開法定で行わなければならない。」
解答:◯
8回中3回間違えています。
自分でも何故間違えたかがわかりません。
「対審」は一定の場合非公開とすることができるのですが(82条2項)、「判決」は常に公開法定で行わなければならない。
問題:「内閣は、災害等緊急の必要があるときは、予算によることなく、政令によって財政上必要な処分をすることができる。」
解答:✗
8回目にして初めて間違えてしまいました。
「慣れ」から文章の後半をよく読んでいませんでした。
「政令」によって財政上必要な処分をすることはできず、「国会の議決」が必要です。
まとめ
説明文は、私の調べた範囲での解説ですので、間違っている可能性もあります。
もし、間違いに気が付かれた方がいらっしゃったら、コメントでお教えいただけると非常に助かります。
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