【行政書士試験】「肢別過去問集」9周しても間違えてしまった問題(行政法) 

今日は「肢別過去問集」で9周しても間違えてしまう問題、行政法編です。

行政法

地方公共団体の施策の変更 平成24年 問8 肢1

問題:「地方公共団体が、生来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した後に、社会情勢の変動等を生じたとしても、決定された施策に応じた特定の者の信頼を保護すべき特段の事情がある場合には、当該地方公共団体は、信義衡平の原則により一度なされた当該決定を変更できない。」

解答:✗

9回中3回間違えた問題です。

そもそも私にとって、文章が難解です。

この肢の文章を要約すると、「社会情勢が変わっても、特定の人の信頼を保護する特別な事情がある場合は、信義衡平のの原則により当該決定を変更できない」となります。

文章としては、理屈が通るので、◯にしたくなりますが、この肢の解答は✗です。

この肢は、「宜野座村工場誘致事件」の判例を知らないと、解答にたどり着くのは難しいかもしれません。

宜野座村工場誘致事件 最判昭56.1.27

この事案は、沖縄県宜野座村(Y)の村議会が、X会社の工場を誘致するため、村有地を工場敷地の一部として譲渡する旨の決議を行い、そのことで、X側も村有地の耕作者らに補償料を払い、整地工事等の行為を完了しました。ところが、その後に行われた村長選挙で本件向上進出反対派の候補が当選し、Xが提出した工場の建築確認申請に不同意である旨の通知がなされたものです。

これに対し、Xは、Yの協力拒否のために工場の建設・操業が不可能になり損害を被ったとして、損害賠償請求をおこなったものです。

判例は、本件計画変更より生じたXの損害について、Y村に不法行為責任を認めています。

判例集には、本肢の「特定の人の信頼を保護する特別な事情がある場合は、信義衡平のの則により当該決定を変更できない」かどうかについては直接言及していないのですが、地方公共団体は社会情勢の変動があった場合には、施策を変更することは当然にあることを前提として判決を出していますので、この肢は✗を選択すべきということになります。

公正取引委員会 平成3年 問33 肢1

問題:「公正取引委員会は、経済産業省の外局である。」

解答:✗

9回中4回間違えています。

公正取引委員会は経済活動に関連していると思うので、経済産業省の外局に見えてしまうのですが、

実際には、内閣府の外局です。

重要性が高いので、総理大臣の統括する内閣府の外局と覚えましょう。

ちなみに、独占禁止法に基づいて設置されています。

特許と認可 平成元年 問40 肢2ほか

問題:「特許とは、特定人のために新たな権利を設定し、その他法律上の力ないし法律上の地位を付与する行為をいい、土地改良区の設立の認可がこれにあたる。」

解答:☓

前段の「特許」の説明は正しいのですが、

後半の「土地改良区の設立の認可」が特許ではありません。

「土地改良区」は、一定の地域内の農業用背水施設、道路、農地の埋立、災害復旧等の土地改良を行うことを目的とした組織で都道府県地の認可で法人となるものをいいます。

つまり、実態は「法人設立行為」の認可ですから、行政行為の「認可」にあたります。

行政代執行法と条例 平成元年 問8 肢3

問題:「行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」には条例が含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。」

解答:✗

9回中5回間違えています。

おそらく、条文がきちんと頭に入っている人は間違えない、基本中の基本問題です。

どうしても私は、「ここにいう「法律」には条例が含まれない旨が併せて規定されている」という記載に騙されてしまいます。

行政代執行法2条には、「法律(法律の委任に基く命令、規則、条例を含む)」とあり、実際には「法律」に条例が含まれます

執行罰の賦課方法 平成18年 問22 肢4

問題:「故意に一定以上の騒音を発する者に対し、条例で騒音を発する行為の中止を命じる規定を設けた場合、併せて一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促すことができる。」

解答:✗

9回中6回も間違えています。

執行罰の運用自体の説明は正しいと思うのですが、よく考えると、このような執行罰を課されたとう話を聞いたことがありませんね。

というのも、執行罰は条例で定めることできないと考えられていて、実存する執行罰規定をもつ法律は砂防法のみ(36条)だからです。

このように、迷ったときは、自分の経験を頼りに答えを導き出す力も行政書士試験には求められていると思います。

地方公共団体の命令(行政手続法) 平成19年 問13 肢2ほか

問題:「地方公共団体の制定する命令等であっても、法律の委任によって制定されるものについては、行政手続法の意見公募手続に関する規定が適用される。」

解答:✗

9回中5回間違えています。

地方公共団体の命令等、行政指導指針については、行政手続法の意見公募手続の規定は適用除外です。

よく考えると、地方公共団体は大小さまざまですから、国の行政にまつわる命令・行政指導と同等のルールで運用するのは現実的ではないですね。

まとめ

説明文は、私の調べた範囲での解説ですので、間違っている可能性もあります。

もし、間違いに気が付かれた方がいらっしゃったら、コメントでお教えいただけると非常に助かります。

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