今日も引き続き、過去問を5周解いてもいまだに間違ってしまう問題を取り上げていきます。
問題「行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。」
解答:◯
一見、国の法令に根拠がある行政指導については、行政手続法が適用されるように思えるのですが、実際には、地方公共団体の行政指導については、4章の行政指導の規定の適用はありません(行政手続法3条3項)。
問題「地方公共団体の制定する命令等であっても、法律の委任によって制定されるものについては、行政手続法の意見公募手続に関する規定が適用される。」
解答:☓
これも上の問題と似ていて、法律の委任があれば行政手続法が適用されるように思えるのですが、実際は適用されません。
問題「許可の申請手続において、行政庁Yは審査基準を公にしないまま手続を進めて、結果として申請者Xに許可を与えなかった。審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。」
解答:◯
審査基準の設定と公表は”義務”なので、審査基準を公にしないことは違法にみえるのですが、「行政上特別の支障が生じる」という特殊なケースでは許されるようです。
問題「申請拒否処分の理由については、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合には、処分後相当の期間内に示せば足りる。」
解答:☓
”不利益処分”の場合は、このような緊急時の規定が用意されていますが、申請を拒否する処分の場合、”理由を示さない”ことは想定されていません。したがって、申請を拒否する場合、必ず理由を示す必要があります。
問題:「行政庁は、申請に対する処分でって、申請者以外の者の利害を考慮するべき場合は、公聴会の開催その他適当な方法により、当該申請者以外位の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。」
解答:◯
公聴会の開催は法的義務ではなく、”努力義務”です。
”法的義務”と”努力義務”の見極めをときどき誤ってしまいます。
問題:「聴聞の相手方については、聴聞の通知があったときから処分がなされるまでの間、関係書類の閲覧を求める権利が与えられるが、弁明の機会を賦与される者には、こうした権利は認められない。」
解答:☓
文章後半の「弁明の機会を賦与される者には、こうした権利は認められない」が正しいので、早合点して◯としがちですが、前半の、「聴聞の通知があったときから処分がなされるまでの間」が間違い。
正しくは、「聴聞の通知があったときから聴聞が終結するまでの間」です。
典型的な引掛け問題。
問題:「弁明は、口頭ですることはできず、これを記載した書面を提出してしなければならない。この場合において、必要があるときは、証拠書類等を併せて提出することができる。」
解答:☓
聴聞手続においては口頭が基本、書類による手続が例外となっているので、弁明の機会においては一見口頭による手続が認められないように思えるのですが、行政手続法29条1項は例外的に口頭での弁明を認めている。
したがって、弁明の機会においても口頭で弁明をなすことはありうる。
問題:「行政指導に携わるものは、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。この場合において、不利益な取扱いには、行政指導により求める作為又は不作為を行うことを奨励する制度を設けてこれに従った者に対して一定の助成を行うなどの措置をとるときに従わなかったものがその助成を受けられないようなものも含まれる。」
解答:☓
前半の、「不利益な取扱いをしてはならない。」は納得できるのだが、後半の、「行政指導に従わなかった者に助成を受けられないようにする」ことは、一見、”不利益な取扱い”に見えますが、実務では”あたらない”ことになっています。
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