今日も、過去問5周目シリーズです。
肢別過去問集は憲法以外の科目は5週目が終わっていて、大体1週間で1周回せるようになってきました。
今日は時間があったので、TAC出版の『みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集』、『行政書士 出るとこ千問ノック』にも取り組むことができました。
今日は行政事件訴訟法の続きです。
行政法の知識は、実務においても重要な基礎知識となるはずですので、将来を見据えて、しっかり勉強したいですね。
問題「保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、どのような理由で、どのような判決をすることになるか。」(40字程度で答えよ)
模範解答:「近隣の飲食店営業者には原告適格がなく訴えは不適法であるため、これを却下する判決をする。」(43字)
処分の取消しの訴えは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる(原告適格:行政事件訴訟法9条1項)。
原告適格がない場合、民事訴訟の例により(7条)、本件訴えは不適法となり、裁判所は却下判決をすることになります。
問題「審査請求の前置が処分取消訴訟の要件とされている場合には、その審査請求は適法なものでなければならないが、審査庁が誤って不適法として却下したときは、却下裁決に対する取消訴訟を提起すべきことになる。」
解答:☓
審査請求前置主義が採用されている場合、適法な審査請求に対する裁決を経なければ取消訴訟を提起できない(行政事件訴訟法8条1項ただし書)。ただ、適法な審査請求がなされた場合には、審査庁が誤って不適法却下したとしても、適法な審査請求を経たものと取り扱われる(最判昭36.721)。
問題「取消訴訟を提起ことができる処分が口頭でされた場合に、相手方から書面による教示を求められたときは、書面で教示しなければならない。」
解答:☓
口頭で処分をする場合、取消訴訟に関する教示の義務はない(行政事件訴訟法46条1項ただし書)。
問題「原処分ではなく採血に対してのみ取消訴訟を認める旨の定めがある場合に、当該原処分を行う際には、その定めがある旨を教示しなければならない。」
解答:◯
行政事件訴訟法46条2項本文のとおり。
国家賠償法
問題:「所得金額を過大に認定して行われた所得税の更正は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることになるが、税務署長が思料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上で、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、過失があるとの評価を受けることとなる。」
解答:☓
問題文が長い上に、前半と後半で意味がつながらないので、混乱します。
税務署長のする所得税の更正が、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではありません。
税務署長が思料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けます(最判平5.3.11)。
問題:「国による国民健康保険上の被保険者資格の基準に関する通知の発出は、行政組織内部の行為なので、「公権力の行使」には該当しない。」
解答:☓
文章としては妥当に見えるので、間違えやすいです。
最高裁判所の判例は、国による国民健康保険上の被保険者資格の基準に関する通知の発出は「公権力の行使」に該当するとしています(最判平19.11.1)。
判例(最判平17.4.14)は、登記等を受けた者が登録免許税法に基づいてした登記機関から税務署長に還付通知すべき旨の請求に対し、登記機関の拒否通知は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしている。
問題:「消防署員の消火ミスにより、一度鎮火したはずの火災が再燃し、家屋が全焼した場合、失火責任法が適用されるため、被害者は国または公共団体に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めることができない。」
解答:◯
「消防署員の消火ミス」によって、家屋が全焼していることから、国家賠償法の適用が認められそうですが、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、公務員の責任が「重過失」に軽減されてしまうため、この「消火ミス」は軽過失という評価になるので、損害賠償請求ができないという結論になります(最判昭53.7.17、最判平1.3.28)。
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