今日は、初めて行政書士の模試を会場で受験したので報告したいと思います。
受験したのは、昨日受講した、LECの「到達度確認模試【第1回】」です。
新型コロナウイルスの影響が懸念されましたが、私の受験した町田本校では、
受験者1名当たり1つの長机を使える贅沢な状態で受験できました。
当然、マスク着用です。
新型コロナウイルス対応について
1名だけ試験開始直前からマスクを外していた若い男性がいました。
会場の管理者は巡回時に注意していませんでしたので、この点は気になりました。
到達度確認模試の日程
2020年のLECの行政書士試験模試は、
到達度確認模試が7月と8月に1回ずつ、
全日本行政書士公開模試が9月に2回
行政書士ファイナル模試が10月に1回
厳選!直前ヤマ当て模試が10月に1回
となっています。
私は、答練パックで申し込んでいるので全て受験する予定です。
自己採点の結果
この模試は、本番と同じ出題形式、試験時間、配点になっています。
自己採点の結果は、
- 法令の5択が160点中104点
- 法令の多肢選択が24点中16点
- 法令の記述式が60点中6点
- 一般知識の5択が56点中40点
合計点は300点中166点でした。
もし本番だったら不合格です。。
平成28年度に受験した行政書士試験が116点しかとれていませんでしたので、それからしたらだいぶ進歩したと前向きに捉えたいと思います。
今年の勉強時間が280時時間ですので、目標の1000時間を試験までに実現できれば、合格レベルには十分到達できそうな手応えがつかめました。これはこの模試を受けてよかったと思います。
解説講義はすでにWEBで受講できるのですが、今日は受講できませんでしたので、後日まとめをアップしたいと思います。
WEB解説講義
解説講義は私の場合WEBで受講していますが、動画はすでにアップロードされていて、すぐに受講できる状態でした。
すぐに復習・確認できるので大変便利だと思います。
今回の講師である日高先生が、「正誤問題は短い文章から解く」というテクニックを解説していました。
5択のうち、最も短い肢から検討し、もしその肢で問題の解答ができれば、解答時間を短縮できるというものです。
今度やってみようと思います。
今回間違えたり、気になった論点
大阪市内にある「本件各町会は、その区域に居住する者等によって構成されたいわゆる町内会組織であって、宗教的活動を目的とする団体ではなく、その本件各地蔵の維持運営に関する行為も、宗教的色彩の希薄な伝統的習俗的行事にとどまっている」、「大阪市が拡張回に対して、地蔵像の建立あるいは移設のため、私有地の無償使用を承認するなどした行為は、その目的及び効果にかんがみ、その宗教とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず、憲法20条3項あるいは89条の規定に違反するものではない」
信教の自由の保障は、何人も自己の信仰と相容れない信仰をもつ者の信仰に基づく行為に対して、それが強制や不利益の付与を伴うことにより自己の信教の自由を妨害するものでない限り寛容を要請している。宗教上の人格権としての静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益なるものは、これを直ちに法的利益として認めることができない性質のものである。
鹿児島県知事の大嘗祭への参列の目的は、天皇の即位に伴う皇室の伝統儀礼に際し、日本国及び日本国統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすものであり、その効果も、特定の宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるようなものではない。当該県知事の大嘗祭への参列は憲法上の政教分離原則及びそれに基づく政教分離規定に違反するものではない。
一種の宗教行為としてなされたものであったとしても、それが・・・他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使に当たるものであり、これにより被害者を死に致したものである以上、・・・憲法20条1項の信教の自由の保障の限界を逸脱したものというほかにない。
いわゆる黙秘権を規定した憲法38条1項の法文では、単に『何人も自己に不利益な供述を強要されない。』とあるに過ぎないけれど、その法意は、何人も自己が刑事上の責任を問われる虞(おそれ)ある事項について供述を共用されないことを保障したものと解すべきであることは、この制度発達の沿革に徴して明らかである。されば、氏名のごときは、原則としてここにいわゆる不利益な事項に該当するものではない。
- 内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる(内閣法4条2項後段)
- 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣(”内閣”ではない)の同意がなければ、訴追されない(75条本文)
あらたに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定めによる条件によることを必要とする(租税法律主義、84条)。これは、租税の創設・改廃はもとより、納税義務者、課税標準、徴税の手続はすべて法律に基づいて定めなければならないことを意味する。
国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税にあたるというべきである。市町村が行う国民健康保険の保険料は、これと異なり、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。・・・市における国民健康保険事業に要する経費の3分の2は公的資金によって賄われているが、これによって、保険料と保険給付を受け得る地位との牽連性が断ち切られるものではない。また、国民健康保険が強制加入とされ、保険料が強制徴収されるのは、保険給付を受ける被保険者をなるべく保険事故を生ずべき者の全部とし、保険事故に生ずる個人の経済的損害を加入者相互において分担すべきであるとする社会保険としての国民健康保険の目的及び性質に由来するものというべきである。したがって、上記保険料に憲法84条の規定が直接適用されることはないというべきである。・・・市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法84条の趣旨が及ぶ(直接適用されない)と解すべきである。
公共組合である農業共済組合が組合員に対し賦課徴収する共済掛金及び賦課金は、国又は地方公共団体が課税権に基づいて課する租税ではないから、これに憲法84条の規定が直接適用されることはない。もっとも、農業共済組合は、国の農業災害対策の一つである農業災害補償制度の運営を担当する組織として設立が認められたものであり、農作物共済に関しては農業共済組合への当然加入制が採られ、・・・共済掛金及び賦課金が強制徴収され、・・・賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これに憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきである。
- 行政刑罰と行政上の秩序罰は、いずれも法律(憲法31条)だけでなく条例(地方自治法14条3項)に基づいても科される
- 内閣府は内閣の補助機関であり、内閣総理大臣が長官
- 内閣総理大臣(内閣ではなく)は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる(内閣府設置法7条3項)
- 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに(努力義務)、これを定めたときは、これらの当該申請のて提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない(標準処理期間を定めた場合の公示は義務、6条)
- 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他適当は方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう務めなければならない(努力義務、10条)
- 聴聞手続において当事者又は参加人が資料を閲覧請求する場合、主宰者の許可は不要
- 当事者又は参加人が行政庁の職員に質問を発するには主宰者の許可が必要
- 当事者又は参加人が証拠書類を提出するのに主宰者の許可は不要
- 当事者又は参加人が聴聞調書および聴聞報告書の閲覧を求めるとき、主宰者の許可は不要
- 当事者又は参加人が補佐人とともに出頭したいときは、主宰者の許可が必要
- 意見提出期間は、原則として、当該命令等の案およびこれに関連する資料の公示の日から起算して30日以上でなければならない(39条3項)。ただし、30日以上の意見提出期間を定めることがないやむを得ない事由があるときは、30日を下回る意見提出期間を定めることができる(40条1項)・・・原則30日以上(”以上”と”以下”のひっかけに注意)
- 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるにあたっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関する情報の提供に努める(41条)(努力義務)
- 行政庁は、審査請求もしくは再調査の請求または他の法令に基づく不服申立て(以下「不服申立て」と総称する)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、①当該処分につき不服申立てをできる旨ならびに②不服申立てをすべき行政庁および③不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない(職権による教示、82条1項本文)。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない(82条1項但書)
- 行政庁は、「審査請求書に記載すべき事項」を教示する必要はない
- 行政庁が行政不服審査82条の規定による教示をしなかった場合には、当該処分について不服のある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる(83条1項)
- 行政庁は、当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の一方を被告とするもの(形式的当事者訴訟)を提起することができる処分または裁決を書面でする場合には、当該処分または裁決の相手方に対し、①当該訴訟の被告となるべき者、②当該訴訟の主訴期間を書面で教示しなければならない(46条3項)
- 形式的当事者訴訟は、その法令に別段の定めがある場合を除き、正当な理由があるときは、その期間を経過した後であっても、これを提起することができる(40条1項)
- 形式的当事者訴訟、実質的当事者訴訟においては、取消訴訟における職権証拠調べの規定(24条)の規定が準用されている(41条1項)
歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・財産的価値を高めるもではなく、その市場価値の形成に影響を与えることはないというべきであって、このような意味での文化的価値なるものは、それ自体経済的評価になじまないものとして、右土地収用法条損失補償の対象となり得ない。
平和条約による在外資産のような戦争損害は、「国民のひとしく耐え忍ばなければならないやむを得ない犠牲なのであって、その補償のごときは、・・・憲法29条3項の全く予想しないところで、同条項の適用のない問題といわなければならない。したがって、これら在外資産の喪失による損害に対し、国が、政策的に何らかの配慮をするかどうかは別問題として、憲法29条3項を適用してその補償を求める・・・主張は、その前提を欠く
地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告が死亡した場合においては、その訴訟を小計するに由なく、当然に終了する。
- ①「普通地方公共団体の議会が成立しないとき」、②第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき」、③「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」または④「議会において議決すべき事件を議決しないとき」は、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる(法律の規定による専決処分、179条1項本文)。ただし、「第162条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意」および「第252条の20の2第4項の規定による第252条の19第1項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意」については、この限りでない(179条1項ただし書)。なお、これらの規定による処置(法律の規定による専決処分)については、長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない(179条3項)
- 議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、長において、これを専決処分にすることができる(議会の委任による専決処分、180条1項)。議会の委任による専決処分をしたときは、長は、これを議会に報告しなければならない(180条2項)(承認ではない)
- 普通地方公共団体の長は、予算の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、直ちに、その要領を住民に公表しなければならない(219条2項)。この場合、都道府県知事に報告する必要はない
- 予備費は、議会の否決した費途に充てることができない(217条2項)
- 普通地方公共団体の長は、政令で定める基準に従って予算の執行に関する手続を定め、これに従って予算を執行しなければならない(220条1項)
- 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする(236条2項前段)。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする(236条2項後段)
- 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中にあった者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後またはその他の危難が去った後1年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(特別失踪、30条2項)。30条2項の宣告を受けた者は、その危難が去った時に、死亡したものとみなされる(31条)
- 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(普通失踪、30条1項)。30条1項の規定により失踪(普通失踪)の宣告を受けた者は、30条1項の期間(7年間)が満了した時に、死亡したものとみなされる(31条)
- 代理人によって占有する場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する(指図による占有移転、184条)
- 占有者がその占有を妨害されたときは、占有を奪われた者は、占有保持の訴えにより、その妨害の停止および損害の賠償を請求することができる(198条)
- 占有者が占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防または損害賠償の担保を請求することができる(199条)
- 代理人によって占有する場合、占有権は、代理人が本人対して以後自己または第三者のために占有権を所持する意思を表示したことによって消滅する(204条1項2号)
占有者が占有を「奪われた」ときは、占有回収の訴えにより、その物の返還および損害の賠償を請求することができる(200条1項)。
占有者がその占有を「奪われた」ときとは、占有者の意思によらずに占有を奪取された場合をいい、占有者が搾取されて任意に引き渡したときは、占有者がその占有を「奪われた」場合にあたらない。
「建物」に1番抵当権が設定された当時は土地と建物の所有者が異なっていたが、2番抵当権が設定された当時は双方の招集者が同一であったときは、1番抵当権が実行されると法定地上権が成立する。(建物のために法定地上権が成立しても、建物の1番抵当権者の利益は害されないから。むしろ利益になる)
ここは、民法の改正部分です。
- 契約は、契約の内容を表示してその締結を申し入れる意思表示(「申込み」)に対して相手方が承諾をしたときに成立する(522条1項)。もっとも、申込者の意思表示または取引上の慣行により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する(527条)
- 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、または行為能力の制限を受けた場合において、①申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、または②その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない(526条)
ここも、民法改正部分です。使用貸借は旧法では要物契約でしたが、新法では諾成契約に変更されました。
- 使用貸借においては、貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる(593条の2本文)。ただし、書面による使用貸借については、この限りではない(593条の2ただし書)
- 使用貸借は、借主の死亡によって終了する(597条3項)。しかし、貸主の死亡によっては、その効力を失わない(貸主の相続人に承継される)
- 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う(718条1項本文)。ただし、動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない(718条1項ただし書)
- 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内(熟慮期間)に、相続について、単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない(915条1項本文)。
- 株式会社の定款には、①目的、②商号、③本店の所在地、④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、⑤発起人の氏名または名称および住所を記載し、または記録しなければならない(27条)
- 株式会社の負担する設立に関する費用は、定款に記載し、または記録しなければ、その効力を生じない(28条4号)。もっとも、定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く(28条4号かっこ書)
- 原始定款のみ、公証人の認証を受けなければその効力を生じない(30条1項)
- 組織変更とは、法人格の同一性を保ちながら、①株式会社が、その組織を変更することにより、持分会社(合名会社、合資会社または合同会社)となること、②持分会社が、その組織を変更することにより、株式会社になることをいう(2条26項)。これに対し、合名会社または合資会社が合同会社となること、および、合同会社が合名会社または合資会社となることは「持分会社の種類の変更」(628条)という
- 新設合併(2条28号):2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社(消滅会社)の権利義務の全部を合併により新設する会社(新設会社)に承継させるもの
- 吸収合併(2条27号):会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社(消滅会社)の権利義務の全部を合併後存続する会社(存続会社)に承継させるもの
- 新設分割(2条30号):1または2以上の株式会社または合同会社(分割会社)がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割により設立する会社(新設会社)に承継させること
- 吸収分割(2条29号):株式会社または合同会社(分割会社)がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後他の会社(承継会社)に承継させること
- 株式移転(2条32項):1または2以上の株式会社(完全子会社となる会社)がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社(完全親会社となる会社)に取得させること
- 株式交換(2条31号):株式会社(完全子会社となる会社)がその発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社(完全親会社となる既存の会社)に取得させること
報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由と並んで、事実報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわねばならない・・・。取材の自由の持つ上記のような意義に照らして考えれば、取材源の秘密は、取材の自由を確保するために必要なものとして、重要な社会的価値を有するというべきである。そうすると、当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法規に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、当該取材源の秘密は保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、当該取材源に係る証言を拒絶することができると解するのが相当である。
建築確認における接道要件充足の有無の判断と、安全認定における安全上の支障の有無の判断は、異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが、もともとは一体的に行われていたものであり、避難または通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして、前記のとおり、安全認定は、建築主に対し建築確認申請手続きにおける一定の地位を与えるものであり、建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。
・・・他方、安全認定があっても、これを申請者意外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し、建築確認においては、公示の施工者は、法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると、安全確認について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても、その者において、安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく、建築確認があった段階で初めて不利益が実現されると考えて、その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断もあながち不合理であるともいえない。
・・・以上の事情を考慮すると、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために・・・接道義務違反があると主張することは許されると解するのが相当である・
行政事件訴訟法36条によれば、処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処理により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効確認を求めるに付き法律上の利益を有する者で、当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができると定められている。処分の無効等確認訴訟を提起し得るための要件の一つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基いて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のために被っている不利益を排除できない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味するものと解するのが相当である・・・。
本件についてこれをみるのに、非上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止を求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法36条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。また、他に本件無効確認訴訟が右要件を欠くものと解すべき事情もうかがわれない。これと同士の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
A県公安委員会が、Xに対し、運転免許の取消処分(「処分」)をしたという事案においては、処分がすでになされていることから、これを不服とするXとしては、Aを県公安委員会の所属する公共団体であるA県を被告として、処分の取消の訴えを提起すべきである(行政事件訴訟法3条2項、11条1項1号)。
本件処分の取消の訴えを提起しただけでは、処分の効力、処分の執行または手続の続行を止めることはできない(執行不停止の原則、25条1項)。
もっとも、処分の取消の訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があるときは、裁判所は、申立により、決定をもって、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止(執行停止)をすることができる(25条2項)。したがって、Xは、処分の取消しの訴えを提起するとともに、執行停止の申立をすべきである。
- 匿名加工情報とは、個人情報に含まれる記述等の一部を削除等すること、個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除等することにより、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう(2条9項)。また、匿名加工情報を作成した個人情報取扱事業者および匿名加工情報取扱事業者は、当該匿名加工情報の作成した個人情報取扱事業者を識別するために、当該匿名加工情報を他の情報と照合してはならない(36条5項、38条)
- 保有個人データとは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加または削除、利用の停止、消去および第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるものまたは1年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう(2条7項)。この政令で定める期間は6カ月である(個人情報保護法施行令5条)
- 行政機関の職員は、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、法令の制定または改廃およびその経緯や閣議、省議等の決定等その他の事項について、文書を作成しなければならない(4条)
- 行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間および保存期間の満了する日を設定しなければならない(5条1項)
- 行政機関の長は、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る)を一の集合物(「行政文書ファイル」)にまとめなければならない(5条2項)
- 国立公文書館の長は、当該国立公文書館において保存されている特定歴史公文書等について、特定歴史公文書等の分類、名称、保存場所等を記載した目録の記載に従い利用の請求があった場合には、一定の個人情報が記載されている場合を除き、これを利用させなければならない(16条1項)
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