本日は、先日私が受験しましたLECの「全日本行政書士公開模試 第2回」につきまして、
5肢択一問題のうち、私が間違えてしまった行政法の論点を整理したいと思います。
この時期にLECの模試に問題になるということは、重要度の高い判例と考えられますので、必須知識になるかと思います。
「全日本行政書士公開模試 第2回」5肢択一式 行政法のテーマ
行政書士試験における5肢択式問題のうち、行政法の部分は、地方自治体も含めて19問です。
法令の5肢択一式の問題数が40問ですから、ほぼ半分を占めています。
行政書士試験のなかで行政法の重要度は非常に高いといえます。
今回の模試で私が間違えたのは19問中5問です。
私が間違えてしまった問題のテーマは、
- 申請・届出(行政手続法)
- 再審査請求(行政不服審査法)
- 原告適格(行政事件訴訟法)
- 長と議会との関係(地方自治法)
- 国の行政組織(行政法)
の5つです。
申請・届出(行政手続法)
Q
個別法において届出という用語が使用されていても、行政庁がその内容を審査して応答をすべきこととされているものは、行政手続法における申請に含まれる。
A
◯
この問題は行政手続法2条3号の知識を問う問題です。
私は、2条3号の条文を覚えていなかったために、この問題を見たとき、この問題が、講学上の「届出」と「申請」の違いと行政手続法における「届出」と「申請」の違いが同じか、違うかを問われているのだと勘違いしてしまいました。。
実際には、行政手続法における「申請」は以下のように広い意味になっています。
申請
→法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
ただし、直接「届出」と書かれていないので、しっかりとこの条文を理解してなければこの肢の正誤を判断することは難しいと思われ、おそらくほとんどの人が、「△」にして、他の肢で回答にたどり着いたのではないかなと思います。
Q
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、当該申請が法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない場合を除き、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない。
A
✗
引っ掛けです。この肢は、私には一見正しく見えてしまうのですが、「当該申請が法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない場合を除き」が余計です。なぜなら、「形式上の要件」に適合するかしないかは、行政庁が審査をしてみないとわからないからです。
再審査請求(行政不服審査法)
Q
再審査請求においても、原則として、その審理は審理員によってなされなければならず、また、審査請求の場合と同様、行政不服審査会への諮問を要する。
A
✗
行政不服審査法において、再審査請求の手続は審査請求の手続規定を準用する形をとっているので、細かく条文チェックをしていないと見落としてしまう論点です。
66条を注意深く見ると、再審査請求においては、審査請求でとられる行政不服審査会への諮問手続が準用されていません。
Q
再審査請求において、再審査請求人または参加人の申立てがあった場合には、それが困難であると認められない限り、口頭で再審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を当該申立てをした者に与えなければならない。
A
◯
これも、きちんと66条の参照先をチェックしていれば簡単に正誤が判断できた問題です。
私は、再審査請求については曖昧な知識しか持ち合わせていなかったので、「与えなければならない」という義務的口頭意見陳述があるかないか自信なく、最終的にこの肢を「✗」と判断してしまいました。
私は、この判例は4年前にチェックしたと思いますが、全く忘れていたましたが、なんとか4問正解することができました。
原告適格(行政事件訴訟法)
「産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち、当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する待機や土壌の汚染、水質の汚濁、悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物等処分業の許可処分及び許可更新処分の取消し及び無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟及び無効確認訴訟における原告適格を有するものというべきである。」
私はこの判例を知らなかったため、確信を持っていなかったために、原告適格を有しないと判断してしまいました。
廃棄物処理法は、「その事業に係る営業上の利益から個々の既存の許可業者の個別的利益としても保護すべき趣旨を含む」として、「市町村長から一定の区域につき既に・・・一般廃棄物処理業の許可又はその更新を受けている者は、当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物処理業の許可処分又は許可更新処分について、・・・その取消訴訟における原告適格を有する」
どうやら私は、『肢別過去問集』P.344にある問3、保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が原告適格がないという知識から、「既存の同業者は原告適格がない」というロジックを当てはめてしまい、この失点を招いていました。
どうやら、
産業廃棄物業者については、その乱立が起きると、居住者の衛生環境・健康被害につながるおそれがあるので、既存の許可業者の原告適格を認めるのが判例のようです。
長と議会との関係(地方自治法)
Q
普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付することができる。
A
✗
この問は、地方自治法176条4項、長の特別拒否権に関する問題です。
正しくは、「付すことができる」ではなく、「付さなければならない」となります。
普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。
また、もう一つ地方自治法に長の必要的付再議義務を規定する条文があり、これが本文の正解肢でした。
また、この条文は、『ケータイ行政書士ミニマム六法』に掲載されていない条文でしたので、見落としたという言い訳もあります。
普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
一 法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費
二 非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費または感染症予防のために必要な経費
国の行政組織(行政法)
Q
内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とし、その長は内閣官房長官である。
A
✗
これは、間違えては行けない肢だと思います。
うっかり、「内閣総理大臣」と「内閣官房長官」を見間違えていました。
Q
省および内閣府には、いずれもその外局として委員会を置くことができ、内閣府の委員会の庁には、国務大臣が充てられることもある。
A
◯
この肢の後半については、知っている人は少ないのではないでしょうか?内閣府設置法49条の規定のようです。
内閣府には、その外局として、委員会及び庁を置くことができる。
2 法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている前項の委員会には、特に必要がある場合においては、委員会又は庁を置くことができる。
3 前二項の委員会及び庁(以下それぞれ「委員会」及び「庁」という。)の設置及び廃止は、法律で定める。(委員会及び庁の長)
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